難易度:上級者向け
ブラシマスク機能とキーフレーム機能を応用したアニメーション演出になります
・位置アニメーション
・拡大/縮小アニメーション
・ブレンド機能
・トランジション
・エフェクトなどなど
今回は、人物紹介などにぴったりな、『マスクアニメーション演出』を
PowerDirectorで作成する方法を紹介いたします。
少し難しいので下記機能についてはあらかじめ目を通していただけますとありがたいです!
キーフレームとイージング関連記事
※これらの演出アニメーションはPowerDirector 18で作成しております
それでは、まずはDEMOを御覧ください
このように、『紹介したい人物』を『演出したい瞬間』で静止画にしながら
その背景が置き換わっていく演出アニメーションになります。
このアニメーションの最大のポイントは
演出アニメーション中は静止画、つまり動画自体は止まっている状態だということです。
なぜ、静止画になっているかというとPowerDirectorで『フリーズ・フレーム』を作成して置き換えているからです
そして置き換えたフリーズ・フレーム(=静止画)の背景をブラシマスクで削除するだけで完成させられるアニメーションなので、
わざわざ色抜きしやすい背景などで動画を撮り直す必要がないのが最大のメリットです。
つまり紹介演出をしたい人物や物が写っている動画であればなんでもいけますし
キャラクターを動かすゲームプレイ動画なども相性が良いと思います。
それでは作成の手順を説明していきます。
もくじ
- メイン:『基本の人物部分を切り抜く作業』
- 作業1.紹介したい人物or物が写った動画素材を用意してPowerDirectorに配置する
- 作業2.その動画の中から切り抜く瞬間を決めて『フリーズ・フレーム』を出力する
- 作業3.『フリーズ・フレーム』の演出時間を調整する
- 作業4.『フリーズ・フレーム』を前半、真ん中、後半の3つに分割し、真ん中のフリーズ・フレームと背景素材を入れ換える
- 作業5.置き換えた背景素材と前半+後半のフリーズ・フレームを『トランジション』で結合する
- 作業6.入れ替えた真ん中のフリーズ・フレームを背景素材と重なるように調整し、背景をブラシマスクに掛ける
- 作業7.ブラシマスクを掛けた真ん中の『フリーズ・フレーム』素材を背景素材と自然に重なるように調整する
- サブ:演出アニメーションの装飾ポイント
メイン:『基本の人物部分を切り抜く作業』
まずは、メインの作業である人物を切り抜いて背景が置き換わっていくまでの作業を行います。
その後でご自由に『サブ作業』を参考に装飾していただければと思います。
初めは、なんでこんなところでフリーズ・フレームを分割するの?と思われるかもしれませんが
そのへんは深く考えずに作業してもらえればと思います。
作業1.紹介したい人物or物が写った動画素材を用意してPowerDirectorに配置する
まずは、紹介したい人物や物が写った動画をPowerDirectorのタイムライン上に配置します。
注意
いきなりメインのプロジェクトファイル編集ファイルで演出アニメーションを行うのではなく
テスト用の新規プロジェクトファイルで練習してみてください。
なぜなら、『フリーズ・フレーム』出力時と『トランジション:オーバーラップ』をかけたときに
トラックごと素材の表示時間がズレるからです
作業2.その動画の中から切り抜く瞬間を決めて『フリーズ・フレーム』を出力する
配置した動画ファイルをプレビューで再生しながら
ここで演出に入りたいというタイミングを探します。
タイミングが見つかったらその地点に再生バーを合わせて、素材を右クリックします。
そして『動画の編集』から『フリーズ・フレーム』を押します。
するとその地点を境目として5秒間の表示時間(:初期設定は5秒)のフリーズ・フレームが出力されます。
注意
フリーズ・フレーム出力時にその地点を境目としてすべてのトラックをバッサリ分割してしまう点にご注意ください。
フリーズ・フレームだけを出力したい場合は、フリーズ・フレームを出力後、『Ctrl+Z』で1段階元に戻すのがおすすめです。
作業3.『フリーズ・フレーム』の演出時間を調整する
次に、出力した『フリーズ・フレーム』の表示時間:演出時間を調整します。
簡単に言うと演出アニメーションを何秒見せたいかということです。
ただし、トランジションに掛ける時間もありますのでこの表示時間というのは
前半トランジション時間 + メインの表示時間 + 後半トランジション時間
でおおよその時間を算出することができます。
個人的におすすめなのは
前半+後半トランジション時間をそれぞれ1秒の半分である0.5秒に設定することです。
(1秒が60フレーム換算のプロジェクトファイルなら0.30で0.5秒になります)
(1秒が30フレーム換算のプロジェクトファイルなら0.15で0.5秒になります)
そうすると、前半トランジションに0.5秒+後半トランジションに0,5秒となります。
あとは真ん中でメインの表示時間をざっくりと決めればOKです。
個人的に2秒~3秒がおすすめですが
メインの表示時間はあとで簡単に微調整できるのでここは割と適当で大丈夫です。
※トランジションは後で時間調整するのは少し面倒です。
メインが2秒~3秒で各トランジションが0.5秒ずつなら
0.5秒 + 2秒(~3秒) + 0.5秒 = 3秒(~4秒)
という感じになりますので、フリーズ・フレームの長さをここで3秒~4秒に調節しておきます。
作業4.『フリーズ・フレーム』を前半、真ん中、後半の3つに分割し、真ん中のフリーズ・フレームと背景素材を入れ換える
先程算出したとおりに 3秒(~4秒)のフリーズ・フレームを0.5秒 +2秒(~3秒) + 0.5秒の3分割にしてください。
そして『メインのフリーズ・フレーム』と『背景素材』を置き換えてトラックを入れ替えます。
ここでいう背景素材というのはマスクアニメーションで元画像の背景が消えていくときに
後ろから浮かび上がってくる新しい背景素材です。
上の画像のようにメインのフリーズ・フレームを前面トラックに移動させて
空いたところに背景素材を入れてあげてください。
なんでフリーズ・フレームを3分割するの?
動きの大きい動画でも自然に背景をトランジションさせるためです。
この後で『背景素材』と0.5秒x2の『フリーズ・フレーム』をトランジションで結合しますが
ここを『従来の動画素材』と『背景素材』をトランジションで結合すると
動きの大きい動画だと不自然になってしまうからです。
作業5.置き換えた背景素材と前半+後半のフリーズ・フレームを『トランジション』で結合する
4で背景素材を入れ替えたので
前半フリーズ・フレーム(0.5秒) 背景素材(2秒or3秒) 後半フリーズ・フレーム(0.5秒)
という並びになっていると思います。
この『背景素材』と前後の2つの『フリーズ・フレーム』をオーバーラップ設定のトランジションで結合してください。
この時、メイン用の表示時間が短いと思ったら1秒ほど長くしてからトランジションで結合しておいてください。
※動画の解説時には結果的にこの後の作業で2秒→3秒に微調整したためです
注意
トランジションをオーバーラップ適用するとそのトラック上の後ろにある素材だけが
時間軸上でズレますのでご注意ください。
作業6.入れ替えた真ん中のフリーズ・フレームを背景素材と重なるように調整し、背景をブラシマスクに掛ける
前半と後半で2つの『フリーズ・フレーム』と『背景素材』をトランジションで結合しましたが
この結合したものとメイン用のフリーズ・フレームを時間軸上でピッタリと合わせてください。
そしてメイン用のフリーズ・フレームを選択し
『デザイナー』→『マスクデザイナー』をクリック、起動します。
そして『マスクを反転』にチェックを入れて『ブラシマスクを作成』をクリックします。
すると『ブラシマスクデザイナー』が起動しますので、背景部分をブラシでなぞって選択していきます。
『マスクを反転』にチェックを入れた場合は、ブラシでなぞった部分が削除されるようになります。
作業7.ブラシマスクを掛けた真ん中の『フリーズ・フレーム』素材を背景素材と自然に重なるように調整する
ブラシマスクで背景が切り抜けたら、マスクデザイナー上でOKを押してください。
そうすると動きはありませんがこの時点で背景だけが置き換わるアニメーションになっていると思います。
ここから背景を切り抜いた『メイン用のフリーズ・フレーム(2秒~3秒)』そのものに
『キーフレーム』を適用させてアニメーションを作成します。
おすすめのキーフレームアニメーションは
・移動アニメーション
・拡大縮小アニメーション
この2点になります。
キーフレームを設定する順番は
比較的かんたんに調整できる『拡大縮小アニメーション』から設定し
その後で『拡大縮小アニメーション』のキーフレームに合わせて『移動アニメーション』を設定するのがいいでしょう。
まずは、『拡大縮小アニメーション』の確定キーフレーム位置から設定します。
メイン用のフリーズ・フレームを選択し『キーフレーム』を押します。
そして上の画像のように『前半トランジションが終わる位置』と『後半トランジションが始まる位置』にそれぞれ
拡大縮小のキーフレームを打ちます。
この2点は絶対にハズレのない位置ですので、慣れるまでは必ずこの2点からキーフレーム設定を始めてください。
次に
『前半トランジションが終わる位置に打ったキーフレーム』より前に1点キーフレームを打ちます。
※これは後でドラッグで簡単に微調整できるので、とにかく前であればOKです
そして
『後半トランジションが始まる位置に打ったキーフレーム』より後ろに1点キーフレームを打ちます。
※こちらも後でドラッグで簡単に微調整できるので、とにかく後ろであればOKです
これで4点のキーフレームが打てたと思います。
あとはそれぞれのキーフレームを自然に見えるように拡大縮小させるだけで完了です。
拡大縮小キーフレーム
動画ではABCDの4点のキーフレームの拡大率とイージングの設定はこのようになっています
A:1.0 イーズアウト:0.4
B:1.3
C:1.3
D:1.0 イーズイン:0.4
あとは同じ拡大縮小キーフレームと同じ位置に
4点の『位置キーフレーム』を打ち座標をそれぞれ設定するだけでOKです
位置キーフレーム
動画ではABCDの4点のキーフレームの座標とイージングの設定はこのようになっています
A:X 0.500 Y 0.500 イーズアウト:0.4
B:X 0.550 Y 0.500
C:X 0.600 Y 0.500
D:X 0.500 Y 0.500 イーズイン:0.4
これでメイン用の作業は終了でございます。
サブ:演出アニメーションの装飾ポイント
編集中
装飾ポイント1.背景素材に一手間を加えて豪華に装飾する
装飾ポイント2.切り抜いた人物にエフェクトを加えてオシャレに装飾する
装飾ポイント3.切り抜いた人物素材と背景素材の間にアニメーションテキスト素材を配置する