マスクデザイナー機能
マスク機能とは、映像素材(画像 or 動画)に図形の型をかけて映像の一部を非表示にする(反転可能)ことができる機能です。
▶ デフォルトマスク
▶ イメージマスク
▶ テキストマスク
▶ ブラシマスク
製品版PowerDirector に対応
※Mac版は機能制限があるかもしれません
このページでは、PowerDirectorに備わっているマスク機能について解説します。
※過去バージョンのPowerDirectorをお使いの方&Mac版の方は一部機能が使えない可能性があります。
マスク機能について
マスク機能というのは、画像や動画といった映像素材に対して図形などを使用し指定した領域を見えなくする:非表示にすることができる機能です。
※隠す領域を反転させることも可能です
『マスクデザイナー』の使い方|領域を指定する4種類の方法
PowerDirectorでは映像素材を選択した状態で『編集』→『ツール』から
マスクデザイナーツールを起動することができます。
※過去バージョンのPowerDirectorは素材選択→デザイナー→マスクデザイナーから起動します。
マスクデザイナーの中には、5つの方法から領域を指定してマスクを掛けることができるので
自分の目的・用途に応じて最適だと思うものを選んで使用します。
①『デフォルトマスク』の場合
『マスクのプロパティー』内にある図形はデフォルトで用意されている図形マスクとなっており、
これらの図形マスクを使って表示・非表示領域を指定します。
まず、マスクをかけたい映像素材を選択し編集 → ツール → マスクデザイナーをクリックします。
※旧バージョンの場合は、素材を選択→デザイナー→マスクデザイナー
そしてマスクのプロパティー内にあるお好みの図形を選択します。
これでデフォルトの図形を使ってマスクをかけることができました。
また、『マスクを反転』にチェックを入れると非表示にした部分を反転させることもできます。
このように、映像に対してシンプルにマスク掛けをしたい場合は
デフォルトのマスクを使用するのが最適です。
適用したデフォルトのマスクは『オブジェクトの設定』から『位置』や『サイズ』『角度』などを指定することができ
これらのパラメータはキーフレームを使うことでアニメーションをかけることもできます。
②『イメージマスク』の場合
『マスクのプロパティー』→ をクリックすると
自分で用意した画像を使用してマスクをかけることができます。
※透過画像を使用する場合は、透過されている部分がそのままマスク範囲となります。
※透過画像でない場合は、グレースケールに変換され明るい部分と暗い部分の明暗を利用して領域を指定します。
まず、マスクをかけたい映像素材を選択し編集 → ツール → マスクデザイナーをクリックします。
※旧バージョンの場合は、素材を選択→デザイナー→マスクデザイナー
そしてマスクのプロパティー内にある をクリックして
マスクとして使用したい『イメージ画像』を選択します。
すると選択した画像が『イメージマスク』として作成(デフォルトマスクの中に保存)されるので
あとはお好みの位置やサイズに調整して使用します。
※アルファチャンネルを使用:透過画像の場合は、アルファチャンネルを使用を選ぶことで透過されている部分がそのままマスク範囲となります。
※アルファチャンネル不使用:透過画像でない場合は、グレースケールに変換され明るい部分と暗い部分の明暗を利用して領域を指定します。
③『テキストマスク』の場合
『マスクのプロパティー』→ をクリックすると
動画素材に対して自分で作成したテキストのマスクをかけることができます。
これは一例ですが、パーティクル系の動画素材にテキストマスクをかけると
こんなイントロに仕上げることもできます。
まず、マスクをかけたい映像素材を選択し編集 → ツール → マスクデザイナーをクリックします。
※旧バージョンの場合は、素材を選択→デザイナー→マスクデザイナー
※マスクを掛けたい映像素材
そしてマスクのプロパティー内にある をクリックして
タイトルデザイナーの要領でマスクとして使用したいテキストのデザインにします。
そして完成したら『OK』を押すことでテキストマスクを作成することができます。
④『ペイント+ブラシマスク』の場合
『マスクのプロパティー』→ をクリックすると
動画素材に対してブラシを利用した複雑な形のマスクをかけることができます。
※ブラシマスクの種類は全3種類。
※手動で型抜き:『+』『-』。
※スマートブラシで型抜き:『+』『-』。
※AIによる自動オブジェクト選択ツール。
まず、マスクをかけたい映像素材を選択し編集 → ツール → マスクデザイナーをクリックします。
※旧バージョンの場合は、素材を選択→デザイナー→マスクデザイナー
そしてマスクのプロパティー内にある をクリックすると
ブラシによってマスク領域を指定する『ブラシマスクデザイナー』が起動します。
ブラシマスクデザイナーでは下記の3つのブラシツールを使用することができます。
3つのブラシツール
①AIを使った『自動オブジェクト選択ツール』:ピンク枠
②手動でマスク範囲を指定する『手動ブラシ』:黄色枠
③類似色をまとめて指定する『スマートブラシ』:紫枠
①AIを使った『自動オブジェクト選択ツール』
製品版PowerDirector 21 Ultimate以上に対応
AIを使った『自動オブジェクト選択ツール』を使用すると
映像の中で一番目立つ対象を自動で選択してくれます。
※21 Ultimate以上の製品で使用可能な機能です。
ブラシマスクデザイナーが起動した状態で『自動オブジェクト選択ツール』をクリックします。
するとAIが自動で判別したオブジェクトが範囲選択されます。
ここから更に微調整が必要な場合は、下記②のブラシを使ってマスク領域を調整します。
②手動でマスク範囲を指定する『手動ブラシ』
手動でマスク範囲を指定する場合は、『手動ブラシ』が最適です。
マウスカーソルが表示されているアイコン(手動ブラシ)が有効になっている状態で
クリックしながらなぞった部分の領域を広げたり(+のアイコン)狭めたり(-のアイコン)することができます。
手順としてはまず『手動ブラシ(+)』を使って領域を広げるように使用し
次に『手動ブラシ(-)』に切り替えて不要な領域を狭めるように使用するのが良いでしょう。
幅とトレーシングペーパーの透明度について
幅:手動ブラシのサイズを指定するパラメータ
トレーシングペーパーの透明度:選択されていない範囲の透明度を指定するパラメータ。透明度が低いほど非選択領域が暗く表示されます。
③類似色をまとめて指定する『スマートブラシ』
次に隣り合う類似色をまとめて指定する『スマートブラシ』について説明します。
『スマートブラシ』では、クリックした箇所の類似色をまとめて領域を拡大 or 縮小することができます。
まず『スマートブラシ(+)』を選択した状態で不要な領域(参考画像では左の窓)をクリックします。
すると、幅のパラメータ(値は大きくなるほど1クリックによる選択範囲が広くなります。)に従って類似色がまとめて指定されます。
そして色が変わる領域が近い箇所(下記画像では窓と髪の毛の境目あたり)をクリックしてみると下記のようになります。
この要領で不要な領域と必要な領域の色差がある箇所を連続でクリックしてマスク領域を拡大していきます。
※領域を広げたい場合は『スマートブラシ(+)』を使用し、領域を狭めたい場合は『スマートブラシ(-)』を利用
これでOKと押すと、一例ですが窓の範囲だけが範囲選択されます。
この場合は、窓だけを抜いたほうが色々と表現できることが増えますので、
『マスクを反転』にチェックを入れて窓だけを抜くようにマスクがけを行います。
※マスク範囲が荒い場合は、ぼかし半径を2~4程度増やしておくと少しごまかせられます。
そしてマスクを掛けた素材の背面に背景素材を置けば
簡易的ではありますが窓の外を別の映像素材に合成したりすることができます。
※色はLUTと色編集で微調整してます。
マスクデザイナー機能を使った作例集
ここからはマスクデザイナー機能(マスク処理)を使った定番な作例を紹介します。
作例①アイリスアウト
マスクデザイナー(デフォルトマスク) × カラーボード × キーフレーム
アイリスアウトというのは、場面転換の手法の1つで
昔のアニメ映画などでよくある丸い円が小さくなって映像が終わっていく演出です。
マスクデザイナーに搭載されている標準のデフォルトマスク(自分で用意したイメージマスクでも可)と
カラーボードとキーフレーム機能を使って実装します。
※デフォルトの丸い図形であれば通常のアイリスアウトですが、ハート型などを使うのも定番です。
作例で使用した素材
▶ PIXABOY:恐竜-ランニング-アニメーション-1438
まず①メインの映像素材を配置します。
次にメディアルームの中にあるカラーボード→②黒いカラーボードをメインの映像素材の前面に配置します。
※カラーボードを使わずにメインの映像素材に対してマスクをかけてもらっても大丈夫です。
※カラーボードを使用する際は黒以外のものを使うことで自分の色を出すことも可能です。
次に配置した黒のカラーボードを選択→ツール→
『マスクデザイナー』をクリックしてマスクデザイナーを起動します。
※メインの映像素材に対して直接マスクを掛ける場合は、素材選択→編集→ツール→マスクデザイナー
続いて、デフォルトマスクの任意の図形(ここでは丸ですがハートや星などでもOK)を選択し『マスクを反転』にチェックを入れます。
※マスクを反転にチェックを入れるのはここではカラーボード使用時のみ。
次にキーフレームでマスクにアニメーションを作成します。
『▶マスクのプロパティー』をクリックして閉じて、『▶オブジェクトの設定』をクリックして展開します。
続いてマスクの大きさ(高さ)のパラメータを調節して画面いっぱいに広がる値(ここでは2.1)に設定します。
次にマスクデザイナー画面下部にある『拡大/縮小』に対してキーフレームを作成します。
赤いタイムラインバーが始点位置(左端)にあるのを確認して『拡大/縮小』の◆をクリックしてキーフレームを作成します。
次に、赤いタイムラインバーを2秒後(タイムレコードを見ながら)に移動させてから
『拡大/縮小』の◆をクリックして2個目のキーフレームを作成します。
続いて2個目のキーフレームが選択されている状態(赤く表示)で
『▶オブジェクトの設定』→マスクの大きさ(高さ)のパラメータを最小の値(ここでは0.001)に設定します。
これで2秒かけてアイリスアウトになるマスク処理を行うことができます。
※キーフレーム間の距離を調節することでアニメーションの速さを設定することができます。
作例②アイリスイン
マスクデザイナー(デフォルトマスク) × キーフレーム
アイリスインというのは
アイリスアウトとは逆に画面の一点が丸く開いていく場面転換の手法です。
マスクデザイナーに搭載されている標準のデフォルトマスク(自分で用意したイメージマスクでも可)と
キーフレーム機能を使って実装します。
※デフォルトの丸い図形であれば通常のアイリスアウトですが、ハート型などを使うのも定番です。
作例で使用した素材
▶ PIXABOY:ケーキ-ウエディング-ケーキ-29338
まずメインの映像素材を配置し、映像素材を選択→編集→ツール→
『マスクデザイナー』をクリックしてマスクデザイナーを起動します。
続いて、デフォルトマスクの任意の図形(ここではハートですが丸や星などでもOK)を選択します。
次にキーフレームでマスクにアニメーションを作成します。
『▶マスクのプロパティー』をクリックして閉じて、『▶オブジェクトの設定』をクリックして展開します。
続いてマスクの大きさ(高さ)のパラメータを調節して画面いっぱいに広がる値(ここでは2.5)に設定します。
次にマスクデザイナー画面下部にある『拡大/縮小』に対してキーフレームを作成します。
赤いタイムラインバーを2秒後(タイムレコードを見ながら)に移動させてから
『拡大/縮小』の◆をクリックして1個目のキーフレームを作成します。
続いて赤いタイムラインバーが始点位置(左端)にあるのを確認して
『拡大/縮小』の◆をクリックし2個目(左端)のキーフレームを作成します。
続いて始点にあるキーフレームが選択されている状態(赤く表示)で
『▶オブジェクトの設定』→マスクの大きさ(高さ)のパラメータを最小の値(ここでは0.001)に設定します。
これで2秒かけてアイリスインになるマスク処理を行うことができます。
※キーフレーム間の距離を調節することでアニメーションの速さを設定することができます。
作例③映画予告のイントロ風テキストマスク
マスクデザイナー(テキストマスク) × カラーボード × キーフレーム
こちらは映画予告イントロっぽいテキストマスクの作例です。
※モチーフはジョン・ウィック パラベラムの予告映像です。
カラーボードで白い背景を配置し、その前面にパーティクル系の動画素材(下記参照)を配置して
そのパーティクル系の動画素材にテキストマスクを掛けて作成します。
※お好みでキーフレームをつけるとより映えます。
作例で使用した素材
▶ PIXABOY:粒子-デジタル背景-171422
まず①最背面に白のカラーボードを配置し
その前面に②テキストマスクをかけるパーティクル系の映像素材を配置します。
※パーティクル系の映像素材はPIXABOYなどの素材サイトでParticleなどと検索すればHITします。ご利用規約等はご自身でご確認ください。
パーティクル系の映像素材を選択→編集→ツール→
『マスクデザイナー』をクリックしてマスクデザイナーを起動します。
次に をクリックして『テキスト用のマスク作成ツール』を起動し
映画っぽいデザインでテキストを仕上げます。
デザインを作成する際のポイントはフォント(書体)とサイズ感です。
小さいサイズの文字列と大きサイズの文字列でメリハリをつけると効果的です。
※上記の場合:小さい文字列のサイズが10、大きい文字列のサイズは42です。
※10という数字に黄金比(1.618)を掛けた値が16、26、42のため
デザインができたらOKをクリックして
通常のマスクデザイナーの画面に戻り拡大のアニメーションを作成します。
赤いタイムラインバーが始点位置(左端)にあるのを確認して『拡大/縮小』の◆をクリックしてキーフレームを作成します。
次に、赤いタイムラインバーを終点に移動させてから
『拡大/縮小』の◆をクリックして2個目のキーフレームを作成します。
続いて2個目のキーフレームが選択されている状態(赤く表示)で
『▶オブジェクトの設定』→マスクの大きさ(高さ)のパラメータを適度な値(ここでは1,2)に設定します。
※始点のキーフレームの大きさが1.0の場合
すると始点と終点の時間軸の中で1.0から1.2に拡大するアニメーションが作成されます。
作例④時短用:擬似的なシネマスコープに
次は、黒のカラーボードとマスクデザイナー機能を使って
黒いレターボックス(LB / レタボ)を入れて簡易的にシネマスコープの縦横比にする方法です。
シネマスコープについて
シネマスコープ (CinemaScope) は、主に映画撮影で用いられていたワイドスクリーン技術の一つです。アナモルフィックレンズを用いた横縦比2.35:1(12:5)の画面アスペクト比です。
引用元:シネマスコープ
要するに上下に黒い帯であるレタボを入れてワイドスクリーンの映画っぽい感じにする方法です。
『シネマスコープ 素材』などと検索すればしっかり2.35:1の比率で作成されたpng画像素材などがありますが、
それほどでもないっていう時に簡易的にシネマスコープにしたい時用の作例です。
まずメインの映像素材の前面に黒いカラーボードを配置します。
※メディアルーム→カラーボード→黒いカラーボード
次に配置した黒のカラーボードを選択→ツール→
『マスクデザイナー』をクリックしてマスクデザイナーを起動します。
※メインの映像素材に対して直接マスクを掛ける場合は、素材選択→編集→ツール→マスクデザイナー
続いて、デフォルトマスクにあるパラレル図形(パラレル=平行)を選択し『マスクを反転』にチェックを入れて
画面中央に水平になるようにマスク位置を調整します。
『▶マスクのプロパティー』をクリックして閉じて、『▶オブジェクトの設定』をクリックして展開し
マスクの大きさ(高さ)のパラメータを0.76の値に設定します。
これで大体のシネマスコープ比率のレタボになるかと思います。
作例⑤イメージマスクを使った手作りトランジション
製品版PowerDirectorに対応
こちらはマスクデザイナーのイメージマスク機能を使った手作りのトランジションです。
ご自身で運営されているYoutubeチャンネルのロゴなどの画像を使って作成します。
解説記事はこちら
作例⑥イメージマスクを使った画面分割の手作りトランジション
製品版PowerDirectorに対応
こちらもマスクデザイナーのイメージマスク機能を使った手作りのトランジションです。
写真などを使って作るトランジションなので、ロゴ画像などがなくても作成できます。
解説記事はこちら
作例⑦イメージマスクを使った車窓風の手作りトランジション
製品版PowerDirectorに対応
こちらはマスクデザイナーのイメージマスク機能と個人的に僕が作った光素材を使った
電車の車窓風のアニメーションが特徴の手作りトランジションです。
解説記事はこちら
総括:PowerDirectorのマスクデザイナー機能解説
以上がマスクデザイナーの記事になります。