バックアップソフトなどで有名なEaseUSから動画編集ソフトが新しく発売されました。
今回はそのEaseUSさんから『EaseUS Video Editor Pro』のレビュー依頼をいただきましたので
レビューをしていきたいと思います。
この動画編集ソフトは『初心者向け』の機能+価格ともにカジュアル路線の有料動画編集ソフトでございます。
値段は一ヶ月ライセンスが3590円~と1ヶ月ライセンスとしては割高なのであまりおすすめはできませんが
永久版ライセンスは1万円程度で今後永久的にアップデート可能になっています。
パッケージは大まかに3つ分けられており、
1ヶ月ライセンス=3590円、1年間ライセンス=5,990円、永久無料アップグレード版=9,590円となっております。
普通の有料の動画編集ソフトだと、今後のアップデートもついてくるというのはなかなか珍しいのかなと思います。
永久的にアップデートができるというのは、お財布にも優しそうな気もします。
ただ、現状ではこのソフトは使ってみた感じ、クラッシュが多い、バグが多いので
このへんを直さないとソフトウェアとしてはまだまだ製品版としてみれないかなとは思います。
EaseUS Video Editor Proの要求スペックもOSのみの記載となっているので
動作チェックなどをきちんとしているのか、というのが気になってしまいます。
EaseUS Video Editor Pro / 動作スペック | |
OS | Windows 7/8/10以上 |
対応する動画/音声フォーマット | 動画フォーマット 『avi、mpeg、wmv、mp4、mov』など 音声フォーマット『wav、mp3、m4a、mid、flac、aac、wma、au、aiff、ogg』など |
対応する写真のフォーマット | 『bmp、jpg、png、gif、tif、heic』など |
対応するデバイス | ポータブルデバイス:『Apple、Samsung、HTC、SanDisk、Sony、LG、Huawei、BlackBerry、Amazon』など 『Windows Media Player 11』及びそれ以降のバージョン DirectX:『Microsoft DirectX 9.0c』及びそれ以降のバージョン |
動画編集ソフト『EaseUS Video Editor Pro』公式サイト
EaseUS Video Editor Proの特徴
- 1ヶ月ライセンスは割高で3,590円 ※例えばAdobeのAfterEffect単体で月額2500円程度
- 今後のアップデートも含めた永久版であれば、割と安く済む値段の9,590円
- 全体的な出来としては、やや未完成気味のソフトウェア
- システム要件もOSしか記載されておらず、去年購入した約18万のミドルクラスのPCを持ってしてもクラッシュ頻度が高い
- 日本語に対応
- インターフェースはシンプルに整っています
ざっくりいうと今現在はこのような特徴を持った動画編集ソフトです。
『EaseUS Video Editor』公式サイトからソフトをダウンロード
EaseUS Video Editor公式サイトから[無料体験]というボタンを押します
※Mac版は現在ない模様
するとexeファイルをダウンロードできます。
そして、ダウンロードしたexeファイルをダブルクリックしてインストール作業を行います
インストール画面になったら、『セットアップ言語』を日本語にして、『インストール先』を指定してインストールを行います。
インストールが終わったら下記のような画面になります。
これでインストール作業は終わりです。
あとは『完了』を押せばソフトを起動して動画編集を行うことができますが
無料体験版だと書き出し動画にウォーターマーク(ロゴ)が入るので、ご留意くださいませ!
ソフトを起動したら...
ソフトを起動したらそのまま体験版のまま『試用する』か
ライセンスコードを購入しているなら『アクティベート』して製品版にします。
ライセンスコードを入力し『アクティベート』する
上記画面の『アクティベート』を押すと『アクティベート入力画面』がでてきますので
ここに『ライセンスコード』を入力してOKを押すます。
これで製品版として使用することができます!
動画、画像、音楽などの動画編集で使う素材ファイルをインポートする(ファイルを取り込む)
まずはじめに動画を編集するために、素材をソフトにインポートします。
「インポート」ってなんぞ?
「インポート」というのは、ソフト上にファイルを取り込むことを言います。
インポートされたファイルはそのソフトで素材ファイルとして使用可能になるという感じです。
※また、動画編集では素材ファイルのことを「クリップ」と呼びます
まずは上の図のようにインポートしたいファイルを左上のウィンドウにドラッグします。
これでインポートは完了です!
このソフトのインターフェースは、FilmoraやMovaviといったオーソドックスな動画編集ソフトに通ずるものがあるので
使い慣れている方は直感的に分かると思います。
ただ、動画編集ソフトだと普通は、プロジェクト毎にインポートした素材ファイルが分けられるのですが
このソフトはすべてのプロジェクトファイルとインポート素材が共有されています
そのため『B』という動画編集をしている時であっても、『A』でインポートした素材も表示されるので
少しごちゃごちゃするかもしれません。
インポートしたファイルは下記のようにソフト上で選択可能になりますので
いつでも使いたい時にこのインポートウィンドウからファイルを呼び出すことができます。
タイムライン上に素材ファイルを挿入する
素材ファイルのインポートができましたら、次はタイムラインに挿入して配置します。
タイムラインというのは、実際に動画を作り上げていく編集ウィンドウのことで
動画、画像、音楽、タイトルなどの素材を並べて1つの動画を作り上げることができるウィンドウのことです
タイムラインに素材を並べて動画を編集するには
まず、インポートウィンドウからお好みの素材を下のウィンドウにドラッグします。
すると、タイムライン上に素材ファイルが挿入、配置されます。
あとは素材を同じように並べて動画を作り込んでいく、という感じになります。
EaseUS Video Editorでは、トラック(素材を入れる入れ子)が下になればなるほど
実際の動画画面で前面に配置されていきます。
上の画像では:
1つ目の映像トラックに動画
3つ目のテキストトラックにテキスト
を配置することで、動画の前面にテキストが表示されるようになっています。
タイムライン上で素材を編集する
動画などの素材をタイムラインに並べた後、タイムライン上で素材を編集することができます。
編集というのは主に、要らない部分を削除する『カット』や動画速度を変更したり色調を変えたり、などです
タイムライン上で行う編集は大まかに以下の10個のアイコンになります。
:編集
選択した素材クリップを編集します
ビデオ項目では、『再生スピード』や『逆再生』『回転』『反転』といったモノに加えて
色調やコントラストを調整することができます。
またオーディオ項目では、音量だけでなく
『フェードイン』や『フェードアウト』などを設定することができます。
:分割
再生マーカー位置で素材を分割することができます。
:削除
選択した素材を削除します
:クロップ
選択した素材をクロップします。
クロップとは『切り出す』という意味で、表示したい部分を選択する場合に使用します。
:ズーム
選択した素材をズームさせます
上の画面でズーム倍率を調整して、下のタイムライン上に表示される黄色いエリアがズームが適用されるポイントになります。
注意点としては、『ズームインアニメーション』と『ズームアウトアニメーション』が必ず自動で適用、長さに応じて自動調整される点です。
:モザイク
選択した場所にモザイクを適用します。
:フリーズフレーム
現在地マーカーで指定したポイントの静止画を作成し画像として挿入されます。
:持続時間を設定
動画や画像、テキスト素材の表示時間を設定することができます。
動画よりも静止画コンテンツの表示時間を調整するのがベターかなと思います。
:アフレコ
このアイコンをクリックすると、再生マーカーの位置から直接音声を入力することが出来ます。
注意:マイクが必要になります
:音声文字変換
音声を含む素材から音声を字幕テキストに変換してくれる機能
ただし、現在日本語には対応しておらず、英語と中国語のみの機能になっています
テキスト素材を作成する
左メニューの『テキスト』タブからテキスト素材を作成することができます。
これは他の動画編集ソフトと同じく、
イメージに近いテンプレート(デザインの雛形)を選択してタイムラインに挿入し
その後で細かいテキストなどを調整するという感じになります。
設定できる項目は、
『テキストの文字列』『フォントスタイル』『サイズ』太字などの『タイプ』や『整列』『色』などがあります。
その他にもグラデーションや影付き、枠などの基本的なデザインを設定できます。
また、基本的なスタイルだけでなく、テキストのモーションも設定することができます。
ただしアニメーションの動きをお好みで調整したりなどはできません。
そして多分バグだと思うんですけど、一番下記の4つのモーションに限っては
プレビューと同じ動作のモーションをしません。
こういう謎のミラーが出るモーションが下記4つです。
『Left Path to Whole』
『Right Path to Whole』
『Up Path to Whole』
『Down Path to Whole』
これは早急に直してもらわないといけないかなと思います。
『フィルター効果』を適用する
『EaseUS Video Editor』では、フィルター効果(エフェクトなどの視覚的効果)が49個搭載されています。
この中からお好みのフィルターを選び、
タイムライン上のお好みの位置に挿入するだけで使用することができます。
ただし、基本的に調整できるパラメータはなく、適用するかしないかだけを選択することができるという感じです。
かんたんにフィルターのDEMO動画を作成してみました。
『 Glow』や『Old Video』といった定番のフィルターはありますが
DEMOの1番目の『Vignette』が変な挙動をしていたりする点、
トラック上ではフィルターに重ねていないはずの素材にもフィルターが適用される点など
使いにくい点が少し目立つかなという印象です。
ココがダメ!
・フィルターを配置したらその持続時間中は、タイムラインの上下に配置した素材全てに適用される点がダメ!
・フィルターとテキストを同時に配置して編集したらすぐにソフトがクラッシュする点もダメ!
※上のDEMO動画(フィルターにテキストを重ねただけの動画)を作るのに30回くらいソフトが強制終了しました
『オーバーレイ』を素材に重ねる
EaseUS Video Editorには『オーバーレイ』という演出があります。
『オーバーレイ』といのはざっくりいうと、画像や動画素材に重ねて使われる(演出させる)モノです。
ベタなものですと、光のアニメーションを重ねたり、ビデオカメラの録画っぽいインターフェースを重ねたり
フィルムのアニメーションを重ねたりといった感じです。
「オシャレなオーバーレイを作りたい」という製作者サイドの意図は見えるのですが
何かと作りが荒かったり、そもそも使える段階でなかったりするのが残念です。
使える段階にないというのは
これらのオーバーレイ素材は、オーバーレイのタブからお好みのモノをダウンロードして使えるようにするのですが
いくつかの素材は、クリックするとクライアントがクラッシュしてダウンロードできません。
これはレビュー以前の問題ですので、早急に直すか提供をやめるかの対応を取るべきです。
ちなみにダウンロードしようとするとクラッシュするオーバーレイは
『golden star』
『glory time』
『capture-1』
『maney rain』
『flower fire』
この5つです。
更に言うと、クライアントのアップデートが入った後、
以前にダウンロードしたオーバーレイを再度ダウンロードしないといけなくなるのもダメなポイントかなと思います。
そして作りが荒いと感じる1番のポイントは
オーバーレイのアニメーションの時間やアニメーションの終わり方がバラバラなことです。
アニメーションの終わりにフェードアウトしていくもの、はいいんですが
最終フレームに達した時点(アニメーションが終わった時点)で静止画になるのは、ちょっとどうなの?と思います。
あとは使い勝手が悪いという点でアニメーション時間がバラバラなのも良くないです。
EaseUS Video Editorは、オーバーレイの持続時間を設定項目であらかじめ一括に設定するというシステムです。
ですが、持続時間を一括に設定する反面、ほとんどのオーバーレイのアニメーション時間が4秒ではなく、
それ以上の秒数が掛かるものが多く、それも秒数がバラバラなので綺麗に終わってくれないことが多く使いにくいです。
こんな感じでアニメーションの途中で終わるオーバーレイが多いので、わざわざ持続時間を伸ばして使わないといけないし
1つ1つのオーバーレイの持続時間がバラバラなのがわかりにくくて使いにくいです。
使用者の観点から見れば、静止画やエンドレスなオーバーレイモーションだけを一括設定にして
持続時間の決まっているオーバーレイは、それぞれのアニメーション完了時間で始めから使用できるようにしてほしいところです。
オーバーレイをプレビューさせながら持続時間を調べないといけないので手間がかかる
一応DEMOも作りましたが、やっぱり動作チェックの甘いモノが多いなという印象でした。
※言葉にしづらいですが、持続時間を長くすると確定でバグが発生するオーバーレイもあります
もう少し、『こういう演出で使ってもらいたい』というイメージを持ってオーバーレイを作って欲しいかなと
ソフト製作者側に対して思います。
ココがダメ!
・それぞれのオーバーレイのアニメーション完了時間がバラバラなのに時間が一括設定
・持続時間を伸ばした時に、アニメーションがきちんとフェードアウトせずに静止画のようになるオーバーレイが多い
『場面転換切替』でトランジション効果を適用する
EaseUS Video Editorには、場面を転換するアニメーション(場面転換切替:トランジション)が59個備わっています。
場面を転換するアニメーションというのは、
2つの異なる場面をつなげる時に使用するエフェクトで『トランジション』といいます。
使い方はとても簡単で、2つの異なる場面のつなぎ目にお好みの『場面転換切替:トランジション』をドラッグするだけです。
そして、そのドラッグしたトランジションをダブルクリックすれば
再生時間(アニメーションの速さ)を設定することが出来ます。
例えば、再生時間を1秒に設定すれば、1秒かけてアニメーションが完了する、という感じです。
そしてもうちょっと早くしたいと思えば、0.5秒などに設定すると倍の速さになります。
EaseUS Video Editorの場面転換切替のアニメーションは
結構高品質で使いやすいものが多いです。
ココが良き!
・場面転換切替に限っては使いやすく、オシャレなものが多いので良きです
動画のエクスポートを行う
タイムラインに素材を並べ終われば後は動画のエクスポート(書き出し作業)になります。
エクスポートってなんぞ?
動画編集ソフトで実際にタイムラインに並べて作ったものはプロジェクトファイルと呼ばれるモノで設計図のようなものです。
この設計図を元に実物の動画ファイル(mp4など)に出力することをエクスポートと呼びます。
タイムライン上で動画編集が終わったら、『出力』を押して
エクスポート:書き出しを行います。
『出力』を押すとエクスポート設定画面が出るので、
『ファイル名』と『出力先(保存先)』を設定します。
そして書き出しの設定なのですがエクスポートは目的に応じて
最適な設定にしなければなりません。
例えば、YoutubeにFull HDの画質で上げたい場合は、
1920 x 1080解像度でフレームレートは30か60にしてmp4拡張子で書き出すと上手くいきます。
このへんは目的に合わせてお調べくださいませ。
『ビデオタブ』では、対応する動画拡張子から書き出し設定をすることが出来ます。
『オーディオタブ』では、対応する音声拡張子から音声ファイルとして書き出し設定をすることができます。
『動画プラットフォーム』タブでは、動画アップロードサイトからの最適設定から書き出し設定を選択することができます。
ただし、『EaseUS Video Editor Pro』には
DVDに焼くための書き込み機能は付いていませんのでご注意ください。
設定がきまったら、『出力』を押すと書き出しを行うことが出来ます。
『EaseUS Video Editor Pro』のレビューまとめ
というわけで以上『EaseUS Video Editor Pro』~動画編集ソフト~のレビューでした。
色々使ってみた結果、やはりクラッシュが多いのが気になります。
それも体感的に、高負荷が掛かったから落ちているのではなく、
一定のメモリ使用量に達したら落ちている感じがしたので、ソフトウェアとしての最適化が上手く行っていないのかなと感じます。
特定の『オーバーレイ』をダウンロードするとクラッシュするのも良くないです。
全体的に、動作チェックの甘さが招いているクラッシュが多いかなーという印象です。
それぐらい実際の動画編集を行っていてクラッシュが多かったです。
唯一良かった点としては、『場面転換切替』です。
これだけは製品版レベルに達しているかなーと感じました。
アニメーションもオシャレですし文句の付け所は特になかったです。
その他の『フィルター』と『オーバーレイ』、『テキスト』に限っては
クラッシュをさせないこと、動作を安定させること、プレビューと違う挙動にならないことが課題になるかなと思います。
そこが直れば、値段相応の動画編集ソフトウェアになるんじゃないかなと思います。
EaseUS Video Editor Proの特徴
- 1ヶ月ライセンスは割高で3,590円 ※例えばAdobeのAfterEffect単体で月額2500円程度
- 今後のアップデートも含めた永久版であれば、割と安く済む値段の9,590円
- 全体的な出来としては、やや未完成気味のソフトウェア
- システム要件もOSしか記載されておらず、去年購入した18万のミドルクラスのPCを持ってしてもクラッシュ頻度が高い
- 日本語に対応
- インターフェースはシンプルに整っています
動画編集ソフト『EaseUS Video Editor Pro』公式サイト
これから良くなっていくことに期待しています