こちらの記事は、動画素材を編集する際に音ズレなどが起きた場合や
予め音ズレの原因になるものを避けたい場合に参照ください。
端的に言うと編集する動画が『動画編集に適していない形式』で録画されていた場合に
映像と音がズレる(いわゆる音ズレ)が起こりやすくなるので、その場合の対処法になります。
※素材によっては編集に適していない形式であっても音ズレが起こらない可能性も勿論あります
この記事では、録画された動画素材が編集に適しているかどうかの確認方法や
『編集に適していない動画素材をHandBrakeというソフトを使って編集に適した形式』にする方法などを解説します。
※動画ファイルはHandBrake、音声ファイルはAudacityを使用して解説します
用語説明
エンコード:データを圧縮したり変換したりすること
※動画編集でいえば、プロジェクトに編集したデータを1つの動画に書き出すこと
フレームレート:いわゆるコマ数のことでfpsと表記されます
※1秒間に30のコマ数で構成されたものは30fps
ビットレート:1秒間に割り当てられたデータ量のことでbpsと表記されます
※ビットレートが高いほど高画質、高音質になりますが動画サイズが重たくなります
HandBrake:動画ファイルの内部パラメータを書き換えて変換できるフリーソフト
※ここではVFRの動画をCFRに変換するために使用します
Audacity:音声ファイルを編集できるフリーソフト
※ここではVBRの音源をCFRに変換したりサンプルレートを変換するために使用します
2つの動画形式について
動画素材には一般的に『録画に適した形式』と『編集に適した形式』があります。
正しく詳しく知りたい方は『VFR』や『CFR』とお調べください
VFR (VBR):録画に適した形式
ここで云う『録画に適した形式』というのは、VFRやVBRという名称の形式のことを指しており
VFRやVBRで録画(撮影)された映像というのはより高画質で、長時間撮影することができるという特徴を持っています。
※iPhoneで撮影した映像やGeforce Experience:ShadowPlayなどでパソコン画面を録画した動画素材などはVFRやVBRで保存されます
VFR (VBR):可変フレームレート(可変ビットレート)について
映像の動きに合わせて映像のフレームレート(or ビットレート)を増減させるため録画効率がよく
高い画質を維持したまま通常より少ないサイズでの録画が可能です。
VFRやVBRだと高画質で長時間録画できることが多いので録画する分にはかなり嬉しいんですが
『フレーム数が変動する動画素材』は『フレーム数を固定して編集する動画編集ソフト』とは相性が悪いのがネックとなります
※ソフトによっては、VFRの動画そのものが読み込めなかったり、読み込めても音ズレの原因になることがあります
CFR (CBR):編集に適した形式
ここでいう『編集に適した形式』というのは、CFRやCBRという名称の形式のことを指しています。
CFRやCBRで保存された映像というのは、常に一定のデータ量、フレーム数で構成されているので
動画編集ソフトとしては扱いやすいがデータサイズがVBR/VFRに比べて大きくなる傾向にあります。
CFR (CBR):固定フレームレート(固定ビットレート)について
あらかじめ指定されたフレームレート(or ビットレート)で保存 or 録画されるため
録画効率は悪いですが、動画編集ソフトとは相性が良いです。
VFRやVBR(特にフレームレートを変動させるVFRの方が原因になりやすい)で保存された動画を編集する場合は
エンコードソフトを使ってCFR(CBR)になるように書き出してから編集すると音ズレの原因を減らせます。
動画 / 音声ファイル形式の確認方法
動画 / 音声ファイルの形式(固定 or 可変を含めたすべてのパラメータ)を確認したい場合は
MediaInfoというソフトを使うと手軽に調べることができます
Media Info 公式サイト:ダウンロードページ
普段録画している動画素材がどのような形式で保存されているかを確認する場合に便利です。
フリーソフト:Media Info ダウンロード&インストール方法
Media Info 公式サイト:ダウンロードページ
上記のダウンロードページ → ダウンロードと進めます
※Windows以外のOSを使用している方は▽マークからご自身のOSを選択してください
続いて、ダウンロードしたファイルを開きインストール先を指定した後で『インストール』と進めます。
これでインストールは完了です。
Media Info の使い方
あとは初回起動時に下記のような画面がでますので
『言語を日本語』にして『出力フォーマットをお好み(おすすめはツリー)』にしてOKとクリックします。
※ツリーなら1画面ですべて確認できるのでおすすめ
するとMediaInfoが開きますので
ここに詳細を確認したい素材をドロップすることでパラメータを確認することができます。
動画を編集する前に確認しておきたいパラメータは
・ビデオ → モード
※VFRなら音ズレが起きやすいパラメータでCFRなら編集に向いているパラメータ
・オーディオ → ビットレートモード
※VBRなら音ズレが起きやすいパラメータでCBRなら編集に向いているパラメータ
・オーディオ → サンプルレート
※大抵44.1 KHzか48 KHzだと思いますが、複数の音源を使用する場合はサンプルレートも統一していることを確認しておきます
だいたいこのへんのパラメータを確認してから、必要であれば動画素材※や音声素材※をエンコードに掛けます。
※動画素材の場合はHandBrakeで変換できます
※音声素材の場合はAudacityで変換できます
VFRの動画素材をCFRに変換する方法
編集したい動画がVFRで保存されていた場合は、CFRに変換してから編集するのがおすすめです。
ここではVFRの動画をCFRに変換するソフトとして『Handbrake』というソフトを使用して解説します。
フリーソフト:HandBrake ダウンロード&インストール方法
HandBrake 公式サイト:ダウンロードページ
①上記のダウンロードページ → 『DownLoad HandBrake ○.○.○』をクリックします。
さらに追加でページ下記の
②「.NET Desktop Runtime download Page」
2つのファイルがダウンロードできたら①先にダウンロードしたファイルを開きインストールのセットアップを行います。
HandBrakeのインストールが完了したら
②2つ目にダウンロードしたファイルをダブルクリックして同じようにインストールを行います。
2つのファイルがインストールできたら導入は完了です。
HandBrake の使い方
インストールが完了したらデスクトップなどに追加されたショートカットなどをダブルクリックしHandBrakeを開きます。
※『検索枠』に『Handbrake』等と打ちでてきたアイコンからソフトを起動してもOK
HandBrakeが起動したら、右半分のグレーになっている部分に『変換したい動画をドロップ』します。
すると動画が読み込まれて変換するパラメータの設定が行えるようになります
※機能はたくさんありますが、今回は『CFRに変換』という機能に絞って解説致します
画面サイズを確認:Dimensions
Dimensionsタブを開きますと、動画の画面サイズ(解像度)を設定するウィンドウが開きます
動画素材そのものの解像度のまま書き出すということであれば
そのサイズになっていることを確認するだけでOKです
もし、解像度を下げたい場合はこのWidthとHeightの値を変えて変更してください
※素材以上の解像度にあげることはできません
動画パラメータを調整:Video
Videoタブを開きますと動画の変換パラメータを調整することができます
※画像品質やCFR化するパラメータの設定が行なえます
Video Codec:ビデオコーデックでは、動画をエンコードする際の動画コーデックを指定することができます
※よくわからなければ、どのサービスにも対応していることが多い『H.264 (x264)』でOKです
Framerate:フレームレートでは、動画のフレーム数を指定することができますが
元のFPSより大きくすることはできませんので、基本的には『元の動画と同じFPSの値』でOKです
Quality:品質では、動画素材の画像品質を指定することができます
左に行くほど低品質で動画サイズが軽くなり、右に行くほど高品質で動画サイズが重くなります。
右に最大にすることで基本的な劣化は起こりませんが、動画サイズがとても大きくなるので
見た目的に劣化の見受けられない10程度が現実的かと思います。
音声パラメータを調整:Audio
Audioタブを開きますと動画の音声部分のパラメータを調整することができます
※音声品質やCBR化するパラメータの設定が行なえます
Codec:コーデックでは、音声部分のコーデックを指定することができますがよくわからなければ『AAC』のままにして
その横の部分を『Bitrate』として数値を『160(程度でOK)』と指定するとCBR化されます。
概要で動画フォーマットの確認:Summery
最後にSummaryを開いて動画フォーマットを指定しますが、よくわからなければmp4で大丈夫です。
『Align A/V Start』は、音声と映像の開始位置を同期させるオプションになります
※特に問題がなければオフでも大丈夫ですが、変換後に音ズレが発生する場合はオンにすると治る可能性があります
以上で変換パラメータの調整は完了になりますが
初めて書き出す場合は、この設定をプリセットとして保存しておくこともできます。
プリセットの保存:Add
画面右下の『Add』を押すと現在のパラメータを1つの変換プリセットとして保存しておくことができます
※プリセットを保存しておくことで次に動画を変換する際に1クリックでこの設定を呼び出すことができます
Nameでプリセットの名前を入力しDescriptionで説明を入力し、Addを押します。
すると画面右のPresets → Custom Presetsの中に新しいプリセットが入ったと思いますので
今後はここをクリックするだけで変換設定を呼び出すことができます。
動画の変換: Save as + Start Encord
パラメータの調節が終わったら画面下部の『Save As』の『Browse』を押して保存先を指定します
※m4vになっている場合は、mp4に手動入力でなおしておくといいかもです
保存先を指定できたら画面上部のStart Encordを押せばOKです。
あとは、エンコードが終わるまで待ってから動画を再生するなどして
音ズレが起きていないかをご確認ください。
音声ファイルのサンプリング / サンプルレートを統一する方法
ここは基本的には自分で音を録音し他の映像と合わせるときに確認する項目になります。
例えば動画音声のサンプリング周波数が48 KHzなのであれば
自分の録音する音も録音時の段階でサンプリング周波数を48 KHzに合わせて録音するという形になります。
※これは録音に使用するソフトでご確認&設定してください
Windows上でマイク入力のHzを指定する場合
Windowsの『サウンドの設定』を開く→ 入力 → デバイスのプロパティ → 追加のデバイスのプロパティを開く
詳細タブを開いたら『規定の形式』という部分がありますので、ここでHzを指定することができます
Windowsのボイスレコーダー等の録音ソフトのHzはここの設定に依存しますのでここでHzの設定を行います
※マイクがステレオに対応していれば1チャネルを選びます
※オーディオインターフェース等を使用していてモノラルにしか対応していない人は僕のように2チャネルを選びます
もし録画した後等でサンプリング周波数:Hzを変換する必要が出た時はAudacityを使用します
フリーソフト:Audacity ダウンロード&インストール方法
Audacity 公式サイト:ダウンロードページ
上記のダウンロードページから使っているOSを下記から選びます
すると自動でダウンロードが始まりますので
ダウンロードが完了したファイルを開き、言語を日本語としてインストール先を指定した後で『インストール』と進めます
これでインストールは完了でございます
Audacity の使い方
Audacityを起動したらここに音声ファイルをドラッグ&ドロップすると
音声ファイルが読み込まれます
※モノラル音源(片耳からしか聞こえない)を両耳から聞こえるようにしたい方は『トラック』→『ミックス』→『ステレオからモノラルへ』とするとOKです
次に左下の『プロジェクトのサンプリング周波数』のHz数値を
変換したいサンプリング周波数に変更します
そして『ファイル』→『書き出し』→『お好みのファイル形式』で書き出しを選択します
mp3で書き出す場合は、下記のように設定をしていただきますと
CBR(固定ビットレート)で書き出すことができます
これで書き出された音声ファイルをMediaInfoで
正常にサンプリング周波数が変わっていることを確認してください
総括:動画編集をする前に素材をエンコードする必要性とそれらの使い方について
というわけでいかがでしたでしょうか
体感的にいえば、VFRの動画であっても確実に音ズレするというわけではなく
VFRの中でも音ズレしやすい映像、しにくい映像などがある印象です
なので『前まではいけたのに急に音ズレした』といったことなどが起こるのではないかなと思っております
動画編集をしていて音ズレが起きだしたら、
VFRなどの動画パラメータや音声素材のサンプルレートに違いがないかなどを確認していただければと思います
また、わからないことなどがありましたらお気軽にコメント等くださいませ