無料版:DaVinci Resolve に対応
この記事では無料版:DaVinci Resolveで
グリーンバック背景などの動画をクロマキー合成する方法を解説します。
DaVinci Resolveの基本的な使い方
DaVinci Resolveでクロマキー合成する方法
DaVinci Resolveでは、背景がグリーンバックになっている素材を
エディットモード(Fusionでも可)から※特定のフィルターを使って指定した色を抜く「クロマキー合成」をすることができます。
※使用フィルター:3Dキーヤー
グリーンバックで用意された素材の緑色部分の色を抜くことで
お手軽に別の背景素材と合成することができたりします。
※使用用途:背景の合成や素材の合成など
①グリーンバックで撮影された動画(or 素材)を取り込む
②OpenFX → フィルター『3Dキーヤー』を適用
③『3Dキーヤー』→『ピック』から広い色を指定
④『3Dキーヤー』→『追加』or『削除』から細かい範囲の色を指定
⑤『キー調整』で色の範囲を微調整
①グリーンバックで撮影された動画(or 素材)を取り込む
まず、DaVinci Resolveの編集画面(メディア or カット or エディットモード)のメディアプールに
クロマキー合成したい素材を取り込みます。
そしてエディット画面に切り替えて下部のタイムラインにクロマキー合成したい素材を配置します。
※背景に素材を合成したい場合は、ビデオトラック1を空けてビデオトラック2に入れるのが良いでしょう。
②OpenFX → フィルター『3Dキーヤー』を適用
素材が配置できたら画面左下のワークスペース(:エフェクト)の
OpenFX → フィルター → 『3Dキーヤー』を①で配置した素材に適用します。
素材に『3Dキーヤー』フィルターが適用できたら、
適用した素材を選択している状態でワークスペース右上の『インスペクタ画面』を開きます。
※インスペクタ画面が表示されていない場合は、画面右上の『インスペクタ』ボタンをクリックします。
そして『エフェクト』タブがアクティブになっていることを確認し『エフェクト』画面に切り替えます。
※エフェクト:3Dキーヤーなどのエフェクトが適用されている場合にアクティブ(白文字)になります。
この画面から抜きたい色を指定していくことができます。
③『3Dキーヤー』→『ピック』から広い色を指定
まず、プレビューウィンドウの左下にある『変形』アイコンをクリックして『OpenFXオーバーレイ』に切り替えます。
※OpenFXオーバーレイに切り替えることで3Dキーヤーで変更したパラメータが可視化されます。
次に『インスペクタ』→『エフェクト』→『3Dキーヤー』の中にある『ピック』を選択して
プレビュー画面内の抜きたい色をカーソルで塗るようにドラッグして指定します。
※細かい部分は後で微調整するので広い部分の色を指定できるようにするのが良いでしょう
するとカーソルでなぞった部分の色が広く指定され、色を抜くことができます。
※上手くできなかった場合は、『リセット』を押して再度『ピック』を選択して画面をカーソルでなぞります。
④『3Dキーヤー』→『追加』or『削除』から細かい範囲の色を指定
『ピック』でざっくり全体の色が指定できたら、
次は『追加』と『削除』を使用して細かい色を指定します。
※追加:被写体の輪郭などに残っているグリーンバックの色を指定する際に使用します。
※削除:グリーンバックではない色を指定してしまった場合に指定から外す際に使用します。
『追加』と『削除』を使用する前に
まず『使用オプション』の中にある『自動白黒ハイライト』のチェックを外す必要があります。
『自動白黒ハイライト』をOFFにした後で、輪郭に残っている緑色の部分を指定するには
『追加』を選択してプレビュー画面内の残ったグリーンバックの色をクリックします。
同じ要領で色残りが気になる部分を『追加』でなぞっていきます。
なぞった部分は、『ストローク』の中になぞった回数だけ保存されていくので、
不要なストロークがある場合は、『ドロップダウン』→『指定』→『ストロークを削除』で削除することができます。
ストロークが適切に追加できたら実際にプレビューしてみて緑色の部分が残ってないかを確認します。
青いパスが邪魔な場合は
『使用オプション』→『パスを表示』のチェックを外すことで非表示にすることができます。
⑤『キー調整』で色の範囲を微調整
最後に指定した色から更に『キー調整』で色の範囲の広さを指定して微調整します。
まず、『インスペクタ』→『エフェクト』→『3Dキーヤー』の中にある『キー調整』を開きます。
この中にある『クロマの許容範囲』の値を増減させることで色の範囲の広さを指定することができます。
※値を増加すると指定する色の範囲が広くなります。
また、『クロマのソフトネス』というパラメータを増減させることで
境界部分を柔らかく(値を増加)したり硬くする(値を減少)ことができます。
これらのパラメータを使って違和感なくクロマキー合成するのが良いかと思います。
緑色の流出(スピル)を抑えるには
クロマキー合成をする際に気になるのが
合成後に被写体の輪郭などに残りやすい緑色の部分です。
※グリーンバックを合成する際に残る緑色の部分をスピルといいます。
スピルとは
スピルというのは、「流出」という意味があります。
クロマキー合成においてのスピルとは、グリーンバックから反射される緑色の光が被写体に入り込む領域を指します。
スピルを軽減させるには
クロマキー合成を視野にいれたグリーンバックの映像を撮影する場合に
緑色のスピルが入り込まないようにするには、布の使い方や照明のライティングに意識を割く必要があります。
基本的なスピル対策
①背景のグリーンに均一に光を当てて、人物の影が入り込まないようにする
②照明を複数用意する。A.人物を照らすキーライト、B.髪などの輪郭を強調するヘアライトなどで入り込む緑色の光を上書きする。
③グリーンバックの領域は必要な広さだけ使用する。グリーンの布の領域が広いほど光の反射を被写体が受けやすくなるため撮影難易度が上がる。
④最終的な構図に足元が入らない場合は、緑の床を使用しない。
特に一番スピルが発生しやすいのは、フロアにグリーンの布を配置してその上に人が立つように布を使う時です。
床に敷いたグリーンの布に照明の光が反射し緑色の光が被写体に入り込みスピルとなって現れます。
照明の使い方としては、照明の数を増やすなどして
①メインの照明(キーライト)を被写体に当てる②被写体の輪郭や髪を強調するヘアライトを上から当てるなどが一般的です。
また、撮影場所の広さにもよりますが、簡単に対策できるものとしては
グリーンバックから距離を離して撮影すると緑色の光が入り込みにくいとされています。
『スピル除去』機能を活用
無料版:DaVinci Resolve 18に対応
DaVinci Resolveの『3Dキーヤー』には『スピル除去』というパラメータがあり、
この値を大きくすることで、ストロークで指定した色の境界部分を目立たない色に補正することができます。